高血圧とは
高血圧とは、血圧がある程度の範囲を超えて高く維持されている状態です(診察室血圧140/90mmHg以上・家庭血圧135/85mmHg以上、家庭血圧を優先する――「高血圧治療ガイドライン2014」(日本高血圧学会)による)。
人の血圧は自律神経によって調整されており、刻一刻と変化しています。起床時など、自律神経の動きを高めるホルモンが多く分泌されている時、緊張している時やストレスがかかっている時には血圧が上がりますし、夜リラックスしている時には低めになります。
そのため、一度血圧を測って高くても、すぐに高血圧とは診断をすることはできません。
何度か血圧を測定し、いつも血圧が高い状態が継続している状態を高血圧と診断します。
高血圧は日本人にはとても多い疾患で、40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧と言われています。
血管や心臓などに障害をもたらす
高血圧を放っておくと、常に血管に圧力が加わって、動脈が傷み、動脈硬化が誘発されます。また、高血圧の場合、心臓もより高い圧力で全身に血液を送り出す必要が生じるため、心臓はより多くのエネルギーを必要とし、疲弊しやすくなります(心不全と呼びます)。つまり高血圧は、血管や心臓などの臓器に障害をもたらします。
当院では、最先端の頸動脈エコーを用いて、動脈硬化の進展度を測定し、血管年齢を評価します。
(クリニック紹介 頸動脈エコーをご参照ください)
高血圧が持続すると、心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招き、脳卒中(脳出血、脳梗塞など)の危険性も増加します。最近の研究により、特に脳卒中では男女を問わず高血圧の影響が大きいことが明らかにされています。
ただ、高血圧そのものは無症状のことが多いので、日々の血圧測定や健康診断などを通じて早期に発見し、早めに対策を打つことが大切です。
無症状のことが多い高血圧
高血圧の90-95%は原因を特定できない「本態性高血圧」です。本態性高血圧は、遺伝的要因に加えて、食生活(塩分の多い食事)や嗜好品(タバコ・お酒など)の摂取過多、運動不足や精神的ストレスなどの環境的要因が重なって引き起こされると考えられています。残りの5-10%は、特定の病気や薬物の副作用など、原因がはっきりしている高血圧です(二次性高血圧 トピックス参照)。
血圧の高い状態が続くと、血管壁が圧力で傷み、また厚くなったり、硬くなったりする動脈硬化の原因となります。そして、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎臓病なども引き起こしやすくなります(日本人では、高血圧を発端に脳梗塞や脳出血を患う人が、欧米人に比べて格段に多いという特徴があります)。
ただ、高血圧そのものは無症状のことが多いので、健康診断などを通じて早期に発見し、適切な対策を講じることが大切です。家庭用血圧計を購入し(好ましいのは上腕用)、自宅で毎日測る習慣をつけることもお勧めです。
高血圧の治療
まず行うべきは、上記のような高血圧の危険因子を知って、そのうえで適正な体重(BMI25未満)にし、適度な運動(毎日30分以上の有酸素運動)を継続的に行い、減塩(1日6g未満)に努めるなど、生活習慣の改善(食事・運動療法)をすることです。
また、医師から降圧薬などを処方されたら、指示通りにしっかりと飲むことも大切です。
一度薬を飲み始めたら、一生やめられないと思っている方が少なくないようですが、食事・運動療法の継続により症状が改善してくれば、薬の量を減らしたり、やめたりすることも可能です。降圧薬を服用し始めたら飲み続けなくてはいけないと考えるのではなく、薬がやめられるように日頃から生活習慣の改善を心がけ、それを継続することが大切なのです。